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ひとつ、唯一   (ラビリナ)

「……」
彼女はめずらしく俯いていた。
時折こちらをチラチラと見ていることに気付いていたが、気付かないふりをした。
ふとナイフとフォークを置くと、彼女は少し緊張したように身構えた。
「あんまり進んでないさね」
「え?」
「口に合わんかった?」
ニコリと笑ってそう尋ねると「ううん、とっても美味しいわ!」と慌てたように目の前の料理を口に運ぶ。
「本当に…とても美味しい、よ」
「良かった」
少しそわそわしている彼女が可愛かった。
食べている様子を暫く見ていると、ますます動作はぎこちなくなり、頬は赤く染まっていく。
「ちょ、ちょっとラビ、」
「ん?」
「…そんなに見ないで」
「何で?」
「は、恥ずかしくて、食べれないわ」
席には二人だけ、彼女はいつもと違い少しだけ、化粧をしている。
任務は半日前に終わっていた。
明日には教団-ホーム-へと帰る。
ファインダーは気を利かせたのか、宿泊施設で先に休んでいた。
「うん」
窓へと目を向ける。
また雪が降り始めていた。
彼女が食べ終わるのを少し待った後、「はい」と小さな包みを渡した。
「一日早いけど、Happy Birthday、さ」
包みは透明で、ペンダントの付いたクマのぬいぐるみが、彼女をきょとんと見つめている。
「…ありがとう…!」
彼女はこちらを見つめて笑顔になる。
「やーっと、笑った!」
「えっ」
「リナリー、店に入ったときからずーっと、食事中も顔固かったさ!」
席を立ち上がると、彼女も慌てて追いかける。
「だ、だってそれは!!」
ラビが、と彼女の反論を背に受けながら会計を済ませ、店の外に出る。
「ラビが…からかうからっ」
外はすっかり暗くなり、街灯に照らされ舞う雪が、人気のない道に積もってゆく。
「からかうって?」
立ち止まって顔を近づけると、彼女は慌てたように視線を反らす。
「ほ、ほらまたそうやって!」
「…こっち、見て?」

 『ねぇ、リナリー?』
 店の前で立ち止まると、彼女の名前を呼んだ。
 『何?』
 『耳、貸して』
 それは幼い頃、内緒話をするみたいにスムーズだった。
 『好きだよ、リナリー』
 彼女はびっくりしたようにこちらを見上げる。
 『…さ!メシにするさ!』

「本気さ」
「もう、ラビってば!」
「リナリー、」
視線を反らせないくらい、顔をぐっと近づける。
「ずるい…」
彼女は溜め息を吐くようにそう言って、観念したように目を伏せる。

(そう、俺はずるいんさ)
(いつだって、ずるい)
(だけど本気なんだ。余裕がないくらい)

( ただ、好きなんだ )
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榎並緋菜

Author:榎並緋菜
大阪府出身。学生。
『D.Gray-man』をはじめとするWJ系中心に二次創作小説を書く予定。

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